Vol.1
HOOD DOG
Hood Dog
- Takumi Terashita -
店主は札幌屈指の有名店「村上カレー プルプル」で経験を積んだ、寺下 拓実さん。髭を貯えたチャーミングな笑顔に、一度聞いたら耳から離れないパワフルかつブルージーな声がとても魅力的。質にウルサイ札幌のミュージックラバー達が集う老舗パーティー”exrail”の主催者としても知られています。今回は早朝から始まるカレーの仕込みに同席させて頂きました。オープンから徐々に進化して来た味わいの理由や、スープカレーとの出会い。ところどころ脱線しながらも、次々飛び出す興味深いお話をお楽しみください。
薄野ランドマーク、ニッカのおじさんの看板。
真下にはまっすぐに伸びる国道36号線。
ちょっと疲れるくらい東に進むと、現れるスープカレー店 “Hood Dog”。
Vol.1
HOOD DOG
俺は朝派。時間は大事。
こっち来たら全然違うしょ?
ガス台これしかないから、うちは営業中にとれないのさ。
だから朝やるしかない。それか夜。でも俺は朝派なんだよね。
前は7時ビタで来てやると、オープンまで買い物行くと時間無いんだよね。
やっぱ時間って大事だよね。
スパイス、倍になっちゃった。
味はオープンしてからだいぶ変わったね。全然変わったわ。
面影もないくらいになっちゃってる。
スープは変わってないんですよ、実は。
でもスパイスが倍になった。
コリアンダーが30gだったんだけど、60gにしたりとか。
間違いパプリカ、なまらうまい。
一回ね、カイエンペッパーと間違ってパプリカを入れたのさ。
そしたらさ、なまら旨味が上がったんだよね。
だったら、パプリカを多めに入れた方がいいんじゃ無いかって言う。
あと生姜の量とか?全体的に前は3gとか4gとかしか入れてなかったスパイスもあったんだけど。
だからスパイスの量はめっちゃ多くなったって言うのはあるかも。
ラーメンでも多分うまい、うちの出汁。
うちはあんまりブイヨンとかは取りたくないタイプだから。
ここで豚骨とか使う人もいる。牛骨とかさ。
これで結構鶏ガラが砕けてくると、出汁が出てくんだよね。
まぁこれだけ出汁出てれば俺はそんなに取んなくていいんじゃねぇかって。
ラーメン作っても結構うまいと思うんだよね。
きのこそのまま入れてもいいんだけどね、強くなっちゃうから。
舞茸とかね、舞茸の味になっちゃう。
玉ねぎに追われるときもある。
これが炒めてある玉ねぎでございます。
そこにある箱一個、20kg分炒めて、大体100杯分。
過酷です。だからスープより玉ねぎに追われる時もあるよね。追われるの嫌。
じゃがいもは眼を離してしまって、溶けてしまったら最悪です。
19歳、スープカレーへの目覚め。
Suezouってあるじゃん。
そこの社長が働いてたねぇ、トリオザパンチョスって所があって。
そこで食ったのが初なんだよね。スープカレーを。
で、それが19位の時かな。
2003年、スープカレーの旅。
そっからスープカレーってめっちゃうまいんだ、って思ってめっちゃ行ったんだよね。
その頃、なつめやとかって知ってる?知らない?36号線の、今何あるところかなぁ。
もうほんと、橋渡ってちょろっとしたらあるところなんだけど
そのなつめやとか行ってたり、心とか行ってたんだよね。最初。
で、あと好きだったのは、、、クフウ好きだったね。
クフウ、銭函って言うか星置にあるんだけど。クフウは今食べても美味しい。
村上カレー プルプルにて、二度目の目覚め。
で、そういう所行って、その後、、、
どこだったっけなぁ、そこからどこハマった、、、
なんか色々行ってたらプルプルと出会って。
最初プルプルも納豆カレーばっかりだったんだよね、
今となっては納豆食わないけどね。
やっぱりチキンが好きだね。それこそ二日酔いの時は
スープ飲みたいんだわやっぱり。
あとプルプルのチキンがうまい。
所謂そっち系のカレー。
で、そう言うところに出会って、そっち系のカレーが好きになったね。
プルプル、アジャンタだね。あとこうひいはうすも好きだった。
その頃は別口でベンべラもハマってたよ。
あとルッカパイパイうまいね、平岸。平岸も結構カレー屋多いよね。
あとデリー。デリーさぁ、米に具材乗っけてさ、辛味入れてソースかけるスタイルしたことある?
なまらうまい、なまらうまいよ。ゆで卵トッピングして。倍うまく感じるよ。
プルプルのオープンが美味い。
なんでプルプルのオープンがうまいかって言うとね
プルプルは毎日スープ取ってんのさ。
その玉ねぎの部分がうまいかどうかなんだよね。
だから、寸胴で混ぜて入れるんだけど、
一番上より下の方がうまみ強いんだよね。沈殿するから。
下の方の玉ねぎが多いチキンベジタブルとか最強にうまい。
1日目のスープと2日目のスープはやっぱり違うよ。
馴染むから。玉ねぎが。
ポテサラみかん、嫌だよねぇ。
俺あんまりスープカレーに甘さ求めてないんだよね。
ポテトサラダにみかんとか行けるタイプ?嫌だよねぇ。
あとコーヒーは苦い方が好きだね。
全然関係ないけど
36号線渡ったらさぁ、来ないんだよねサラリーマン。
やっぱり、南1のあたりとか熱いじゃん。
そっち行きたいよねぇ。
あと全然関係ないけど、この前インスタに上げたアンコウの写真がグロすぎてさぁ。
インスタ側にストップされて消されてたさ。やばいよねぇ
チキン派だけど、そんなに仕込みません。
全然色変わってきたっしょ。暑いしょ? カメラ気をつけてね。
昆布と煮干しと椎茸の汁があるんだけど、これを一回沸騰させるんだよね。いっぺんに仕込むチキンレッグ、うちは注文がチキンに偏らないからそんなに仕込みません。他のカレー屋さんとかもっとレッグなんだろうね。俺もチキン派なんだよね、実は。
圧力鍋で、角煮は30分、ラムは15分。鶏ムネは5分、裂けちゃうから。レッグは45分。レッグが一番めんどくさいよ。
平尾さんの教えと、イレギュラーなマスター。
パストラミを作る時の油を、スパイスオイルにして、ニンニク入れて、アヒージョみたいにしてる。これがねぇ、平尾さんに学んだんですよ。
マスターはこれやらないで、直接玉ねぎにスパイス入れるんだけど。うちの鶏ガラの量だと、どうしてもコクが出なかったんだよね。
それで平尾さんが「こういうやり方もあるよ」みたいな。
マスターの方がイレギュラーらしいよ。イレギュラーです。
さすがだよね。
なんだかんだギャバンとエスビーは全部いい。
いろんなメーカーのスパイス試したんだけど、エスビーのは立派すぎて割れないんだよね。ホール。
だからこういう、薄型のアンビカとかを利用してます。
でもカルダモンはエスビーじゃないと全然ダメ。
ここ何年かでこれはここがいいなって言うのがわかってきた。
やっぱりなんだかんだ言って一級品はギャバンとエスビー。全部いい。
かと言ってね、用途がそれぞれ違うけど。
辛くすると美味しくなる理由。
カレーに入るスパイスね、これが最後にかける香りのスパイス。5種類。嗅いでみな。
で、こっちが辛味のスパイス。これがカルダモン、クミン、コリアンダー、カイエンペッパー。
だから辛味を増すと美味しくなる。
マスターが言うにはクローブは防腐剤です。腐りにくくする。
練る練る練る、そして混ぜる。
スパイスを混ぜて、こう言う感じになります。
ねるねるねるみたいな、ねるねるねるねみたいな感じ?
弱火で香り立つくらいまで温めます。
で、こっちが生姜とニンニクとピューレのやつ。
これもペースト状にして、入れます。
これで玉ねぎのポタージュみたいな感じ?わかりやすく言えば。
ライトなスープ、飲んでみな。
うちはやっぱり黒っぽくなっちゃうよね。
透明なスープのカレーはどうやって作るか気になるんだよな。
これが一番ライトな状態のスープ。
もうちょっと置いた方が馴染むけど、はい。飲んでみな。
体にいい物を食べたいし、食べてもらいたい。
最後に塩と醤油で味付けをします。
何で出来てるかわかんないもの食べたくないじゃん。
だからできる限りナチュラルに作ってる。
見てもらったから分かると思うけど。
完成です。 イェイ。
あとがき
いつも楽しそうに、沢山お酒を飲んでいるイメージが強かった寺下さん。
その姿とは裏腹に '体にいいものを提供したい' と言うこだわりが窺えました。
寺下さんのカレーを何度も食べたくなる理由は、そのスッキリとした食後感に依るもの。
発汗して体は暖まり、頭も冴えてきて、活力が漲ります。
昼過ぎに目覚めたパーティー明け、じんわり体に染み渡る一杯を是非。
(もし二日酔いで動けなかったらフードデリバリーアプリからどうぞ!便利!)
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